音声合成・ナレーションAI比較|ElevenLabs・VOICEVOX・CoeFont・Amazon Polly・VOICEPEAKを用途別に選ぶ

結論
日本語のナレーションを無料で作るなら VOICEVOX 一択。ソフトも音声も無料で、クレジット表記さえ守れば商用利用も可能とされているからです。
ただし、社内向けの落ち着いたナレーションなら買い切りの VOICEPEAK、英語・多言語なら ElevenLabs が勝ち筋。「無料で使える」と「無料で商用に使える」は別物なので、公開前に必ず規約を確認してください。
結論:勝負は「日本語だけか」「商用で使うか」の2問で決まる
音声合成AIは、声の良し悪しで比べたくなりますが、実際に失敗するのはほぼ別の理由です。作った音声を公開したあとで、商用利用の条件を満たしていなかったと気づくパターンです。だからこの分野の選び方は、次の2つを先に決めるのが最短です。
- 日本語のナレーションだけでよいか、多言語も要るか
- 広告収入・仕事の納品を含む商用利用か、個人の趣味の範囲か
先に結論を書くと、こうなります。日本語の解説動画を無料で作りたいなら VOICEVOX、月額を払わず安定した業務用ナレーションが欲しいなら買い切りの VOICEPEAK、英語や多言語で表現力の高い音声が要るなら ElevenLabs、ブラウザだけで日本語の声を選び分けたいなら CoeFont、システムに組み込んで大量に自動生成するなら Amazon Polly。この5つは用途がほとんど重なっていません。
主要5サービスの料金と位置づけ(2026年8月時点)
以下は執筆時点で確認した目安です。プランと規約はどちらも変更されるため、公開前に必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。
| サービス | 形態 | 無料で使える範囲 | 費用の目安 | 商用利用 |
|---|---|---|---|---|
| ElevenLabs | Webサービス | あり。月1万クレジット程度(およそ1万文字相当)という情報 | 月6ドル前後から。上位は月20ドル台という情報 | 無料プランは商用利用の対象外とされます。商用は有料プランが前提 |
| VOICEVOX | PCにインストールするソフト(無料) | ソフトも音声ライブラリも無料 | ソフトの費用はかかりません | 多くのキャラクターで商用利用が可能とされますが、クレジット表記が原則必要。条件はキャラクターごとに異なります |
| VOICEPEAK | PCにインストールするソフト(買い切り) | 体験版が用意されています | 買い切りで数千円〜2万円台という情報。月額は不要 | 商用可の製品が明示されています。購入前に対象製品を確認してください |
| CoeFont | Webサービス | あり。ただし無料プランは非商用向けとされます | 個人向けは月3,000円台という情報 | 有料プラン以上で商用利用が可能とされます |
| Amazon Polly | クラウドのAPI(AWS) | 新規アカウント向けの無料利用枠が用意されているという情報。条件は変更されているため要確認 | 従量課金。100万文字あたり数ドル〜30ドル規模で、音声の種類により差があるという情報 | 可能。ただしAWSの利用規約に従います |
費用の考え方で1つ。「毎月どれだけ喋らせるか」で最適解が変わります。10分の動画のナレーションは、おおよそ2,500〜3,500文字程度です。月に2〜3本ならどのサービスの安いプランでも収まりますが、毎日投稿するなら文字数課金のサービスは急に高くなります。月間の想定文字数を先に概算してください。ここを計算せずに契約すると、月末に足りなくなります。
最大の落とし穴:VOICEVOXは「無料」だが「無条件」ではない
この分野で最も誤解が多いのが VOICEVOX です。事実として整理します。
- ソフト本体は無料で、日本語の読み上げに特化しています。PCにインストールして使う形式で、インターネット接続なしでも動作します。生成した音声ファイルは手元に残ります
- 商用利用が可能とされていますが、無条件ではありません。原則としてクレジット表記が必要で、表記の基本形は「VOICEVOX:キャラクター名」の形式と案内されています
- 条件はキャラクターごとに異なります。キャラクターの音声ライブラリはそれぞれ別の権利者が定めた規約を持ち、禁止事項の範囲が違います。「VOICEVOXだから全部OK」という理解は誤りです
- クレジット表記なしで商用利用する場合は、別途契約が必要と案内されています。金額の目安も公開されており、個人が気軽に選べる水準ではありません
つまり VOICEVOX は「無料だが、表記のルールを守る前提の道具」です。動画の概要欄に一行入れるだけで済むので負担は小さいですが、入れ忘れが規約違反になります。使うキャラクターを決めた時点で、そのキャラクターの利用規約ページを開き、日付つきで保存しておいてください。規約は更新されます。
得意なことの違い
| サービス | 得意 | 苦手 | 使い始めるまでの手間 |
|---|---|---|---|
| ElevenLabs | 感情のこもった読み上げ、多言語、長尺のオーディオ化 | 費用の読みにくさ。無料枠は商用に使えません | ブラウザで登録するだけ。画面は英語が中心です |
| VOICEVOX | 日本語の解説動画、キャラクター性のあるナレーション。費用ゼロ | 落ち着いた業務用ナレーション。多言語 | ソフトのインストールが必要ですが、操作自体は簡単です |
| VOICEPEAK | 研修動画・企業案内など、癖の少ない業務用ナレーション | 声の種類の多さ。追加は購入が必要です | 購入とインストール。買ってしまえば月額の心配はありません |
| CoeFont | ブラウザだけで多数の日本語音声を試す。声を切り替えて比べる用途 | 無料のままの商用利用 | 登録するだけ。日本語のUIで迷いにくい |
| Amazon Polly | アプリやシステムに組み込んで自動生成する用途。大量処理 | 単発の手作業。GUIで作り込む用途には向きません | AWSのアカウント作成と権限設定が必要。この5つで最も手間がかかります |
もう1つ実務的な差を挙げると、読み方とイントネーションをどれだけ細かく直せるかです。日本語の固有名詞や数字は、どのサービスでも必ずと言っていいほど読み間違えます。VOICEPEAK や VOICEVOX のようなソフト型は、単語ごとにアクセントを直す画面を持っているため修正が速い一方、Web型は表記を変えて調整する(漢字をひらがなに書き換える等)対応が中心になります。直しの手数は、長い動画ほど効いてきます。
用途別の勝ち筋
YouTubeの解説動画・ショート動画を作る人
ここは VOICEVOX から入るのが定石です。費用ゼロで日本語の質が実用域にあり、クレジット表記さえ守れば収益化を含む商用利用が可能とされています。ただしキャラクターごとの規約は必ず読んでください。そのうえで、キャラクター声より落ち着いたナレーションが欲しくなったら VOICEPEAK の買い切りに移るのが、費用対効果の高い流れです。
あわせて押さえてほしいのが、投稿先プラットフォームの方針です。合成音声そのものは禁じられていませんが、「価値の薄い量産コンテンツ」と判断されると収益化の審査で不利になるという運用が各所で案内されています。音声を機械に任せる分、構成と情報の中身に手をかけてください。
社内研修動画・製品説明動画を作る会社員
ここは VOICEPEAK で決まりです。買い切りなので稟議が通しやすく、月額の管理も要りません。声質も業務向けの落ち着いたものが揃っています。加えて重要なのが、PCの中で完結するため、社外に原稿を送信せずに済む点です。未公開の製品情報や社内の固有名詞を含む原稿を扱う場合、この差は大きいです。
クラウド型を使う場合は、入力した原稿の取り扱いに関する記載を確認し、必要なら社内の規程と照らしてください。
英語・多言語のナレーションが要る人
勝ち筋は ElevenLabs です。表現力の評価が高く、対応言語も広いとされます。ただし無料プランは商用利用の対象外とされている点に注意してください。試すのは無料枠でよいですが、公開する音声を作る段階では有料プランに切り替える必要があります。ここを見落とすと、公開後に作り直しになります。
アプリやシステムに音声を組み込む個人開発者
この用途は Amazon Polly が本命です。1文字あたりの単価が低く、大量生成の費用が読みやすいのが利点です。音声の種類によって単価が数倍変わるため、最初に安い音声で動作確認し、品質が必要な箇所だけ上位の音声に切り替えるのがコストを抑える定石です。無料利用枠の条件は変更されているという情報があるため、請求アラートを必ず設定してから使い始めてください。
とりあえず声を聞き比べたい人
CoeFont はブラウザだけで多数の日本語音声を切り替えられるため、方向性を決める段階の試し聞きに向きます。無料プランは非商用向けとされるので、公開用の音声を作るなら有料プランか、他のサービスへ移ってください。
知らないと損をしやすい3つのポイント
「無料で使える」と「無料で商用に使える」は別の話
この分野で最も多い事故です。無料枠は試用のために用意されていることが多く、収益化した動画や納品物に使えるとは限りません。公開前に、そのプランの商用利用の可否を確認してください。すでに公開してしまった動画の音声を差し替えるのは、作り直しよりも面倒です。
他人の声を勝手にクローンしない
音声クローン機能は各サービスにありますが、本人の同意なく他人の声を再現することは、権利や人格に関わる問題になり得ます。著名人の声を模した音声も同様です。使うなら自分の声か、サービスが提供する音声に限ってください。サービス側も同意の確認を求める運用を取っているのが一般的です。
読み間違いは「原稿側」で直すほうが速い
固有名詞や数字の読み間違いに、設定画面で毎回対応するのは非効率です。実務では、読み方が不安な語をひらがなやカタカナで書いた別バージョンの原稿を用意するほうが速く終わります。「1,200円」を「せんにひゃくえん」と書くだけで解決することが大半です。
導入時の落とし穴
- クレジット表記の入れ忘れ:VOICEVOX などは表記が条件です。動画の概要欄テンプレートに最初から入れておいてください
- 間の取り方が単調になる:句読点だけでは自然な間が作れません。文を短く切る、意図的に改行を入れるなどの工夫で聞きやすさが大きく変わります
- 音量が動画と合わない:書き出した音声はBGMや効果音と音量が揃っていないことが多く、編集ソフト側での調整が前提になります
- クレジット制の消費が読みにくい:高品質モードは消費が数倍になる設計が一般的です。長尺を作る前に、短い原稿で消費量を測ってください
- ドル建て課金の為替:ElevenLabs や AWS はドル建てが基本で、円安の月は請求額が増えます。カードの外貨事務手数料(1〜3%程度が一般的)も上乗せされます
- 生成した音声を保存していない:解約後にサービス上の履歴へアクセスできなくなる場合があります。使う音声は必ず手元に書き出してください
よくある質問
無料で商用利用まで完結できるのはどれですか
VOICEVOX が該当します。ただしクレジット表記が原則必要で、条件はキャラクターごとに異なります。表記なしでの商用利用には別途契約が必要と案内されています。使う前に、選んだキャラクターの規約ページを必ず読んでください。
日本語がいちばん自然なのはどれですか
用途によって評価が割れます。キャラクター性のある読み上げなら VOICEVOX、業務ナレーションらしい落ち着きなら VOICEPEAK、感情表現の幅なら ElevenLabs という評価が多く見られます。同じ原稿を3つで読ませて聞き比べるのが確実です。どのサービスも試せる形を用意しています。
買い切りとサブスクはどちらが得ですか
月に安定して使うなら買い切りが有利になりやすいです。目安として、月額3,000円のサービスを1年使うと36,000円で、買い切り製品の価格帯を超えます。逆に、使う月と使わない月の差が大きい人は、必要な月だけ契約できるサブスクのほうが無駄がありません。
AI音声だと明記する必要はありますか
プラットフォームや取引先の規程によります。AI生成コンテンツの表示を求める運用を取っているサービスがあり、広告として配信する場合は別のルールが関わることもあります。掲載先のルールを先に確認してください。
ナレーションをAIに置き換えるとクオリティは落ちますか
正直に書くと、感情の乗せ方や間の取り方は、まだ人のナレーターに及ばない場面があります。音声そのものが商品価値の中心になる用途(朗読作品、ブランドの広告音声など)では、人に依頼するほうが結果的に安く済むことがあります。AIが向いているのは、本数が多く、1本あたりの重みが相対的に軽いナレーションです。
契約しなくてよい場合
- 動画を作るのが月に1〜2本:VOICEVOX の無料利用で足ります。有料契約は本数が増えてからで遅くありません
- 自分で話せる環境がある:静かな部屋とマイクがあるなら、自分の声のほうが視聴者に届きます。合成音声は「話せない事情がある」「本数が多い」ときの道具です
- すでに動画編集ソフトに読み上げ機能がある:簡易な読み上げが含まれている編集ツールもあります。まず手元の機能で足りるか確認してください
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、法的な助言ではありません。料金・仕様・利用規約は2026年8月時点に確認した情報であり、変更される場合があります。商用利用の可否、クレジット表記の要否、音声クローンの扱いは各サービス・各キャラクターの最新の利用規約を必ずご自身で確認のうえ、判断に迷う場合は弁護士など専門家にご相談ください。
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